読書が人生の役に立つことは知っていても、なかなか習慣化するのは難しいですよね。
たとえば、食べ過ぎなければ痩せると分かっていてもつい食べてしまう。運動が健康に良いと分かっていても、つい階段を避けてしまう。
読書も同じです。
だからこそ、マインドセットを少し変えるだけで習慣化しやすくなる。そのヒントをお届けします。
もくじ
経験値と理解力が増えた大人だからこそ本を読む価値がある
子どもの頃には理解が難しかった『星の王子さま』などの寓話も、大人になって読むとまったく違った印象を受けることがあります。
それは、人生経験という点が、理解力という線へとつながったからこそ得られる読書の味わいです。
自分ひとりだけの経験値でこの先、生きていけるか?
人との関わりが苦手な人でも、本だけは読んでいるというケースも少なくありません。
それは、自分の経験だけでは得られない視点や感情に、本を通じて触れることができるからです。
他人を理解したいという気持ちが、本という媒介によって育まれていきます。
そつなく人と関われる人でも、本音を共有するのは難しい。そんなとき、読書が新しい理解の手がかりになるのです。
語彙が増えることで、助けられるのは「自分自身」
語彙力とは、自分の内面と向き合う力です。曖昧で言語化できなかった感情に名前がつくと、人は安心します。
読書によって多くの言葉や思考に触れると、思考回路が増え、行き詰まりにくくなります。
落ち着いて物事に対処できるようになるのです。自分の中に良いアイデアがなくても、他者の考え方を取り入れて冷静に選択できる。そんな力が養われていきます。
読書が最高のストレス解消なワケ
最近話題のマインドフルネス。読書もまた、同様に「今ここ」に集中する時間を作ります。
物語に没頭することで現実の問題から距離を取り、視点を変えることができます。
お金や健康、人間関係──多くの悩みのテーマになっている本を読むことで、解決策や気づきが得られることもあります。
けれど、悩みに直接向き合い過ぎると視野が狭くなることもあるので要注意。
だからこそ、小説やファンタジーのような世界に一時的に没頭するのは、実はとても理にかなっているのです。
嫌なことから逃げるならお酒やタバコより読書が最適
嫌な出来事を何度も思い返すことで、ストレスは増大します。
そのストレスを回避するためにアルコールやタバコに頼る人もいますが、読書は健康的でかつ効果的な代替手段です。
文字に集中することで視点が変わり、別の思考経路から問題にアプローチできるようになります。
平凡な毎日に文章が彩をくれる
お気に入りの本のセリフや描写は、日常に彩りを与えてくれます。
いつもの景色の中に物語を感じ、感受性が刺激されます。
読書に変な期待を持たず、スマホでネットニュースを見る代わりに本を手に取ってみる──それだけでも、毎日の過ごし方が変わっていきます。
読書を習慣化させるコツとは
- スマホ時間の一部を本に置き換える:
SNSの使用時間を制限して読書の時間を確保。 - 就寝前に数ページ読む:
活字を見ることで眠気が促進され、自然な寝落ちにもつながる。 - 目次から興味のある箇所だけ読む:
全部読む必要はなし。気になったところだけで十分。 - 要約サイトで概要をつかむ:
flierなどの要約サービスを使って、全体像を把握してから読む。
※ChatGPTも有効 - 図書館を活用する:
無料で借りられ、期限があることで“読む動機”が生まれやすい。 - 読書姿勢を整える: クッション・スタンド・照明などで快適な読書環境を整備。
哲学書や精神世界の本との付き合い方
精神世界に関心を持つ人の多くは、現実に息苦しさや違和感を感じている人かもしれません。
ミュージシャンYO-KINGの「ライセンス・トゥ・精神世界」という曲の冒頭では、
“精神世界 探求する人 健全な日常 送れる人でなければいけない
でもそれ出来ない人 精神生活興味ある場合が多い”
と歌われ、続くサビ後には、
“普通の生活 無自覚無意識でやってる人こそすばらしい”
という一節があります。
日常を送ることがしんどいからこそ、精神世界に目を向けたくなる──その感覚も自然なものです。
読書はそんな精神の探求に“距離”と“時間”を与えてくれる、健全で安心できる方法でもあります。
本の要約と読書の違い
評論家・岡田斗司夫さんは、読書と要約動画の違いについてこう語っています。
「本の要約動画を見るのと、実際に本を読むのは、散歩と筋トレくらい違う」と。
散歩は気軽でリフレッシュできるけれど、筋肉はつかない。本を読むという行為は“脳に筋肉をつける”ためのトレーニングのようなもの。だからこそ、読むという行動自体に価値があるのです。
もちろん、散歩だって行かないよりはずっとマシなんですけどね。
読書が苦手な人はどうすれば良いのか?
「活字を見ると眠くなる」「集中できない」──そんなときは、無理に読もうとせず、気楽に読み流してOKです。
むしろ、眠れるならそれを利用して、就寝前の読書として習慣化してしまうのも手。読書を“寝る前の快眠導入剤”として使ってみるのもおすすめです。
また、内容ではなく単語に引っ張られて雑念が浮かぶのも当たり前。戻れなくても大丈夫。気にせずページを進めましょう。
おわりに
読書は、「読まなきゃ」と気負うほどに遠ざかってしまうもの。
でも実際は、何ページ読んだかより、どれだけ心に残ったかが大切です。
効率や正解を求めず、自分だけの“読む時間”を楽しむ。それが結果的に、人生の視野を広げ、日常にちょっとした彩りを与えてくれるのではないでしょうか。
読書=勉強というイメージをそっと横に置いて、「少しだけ読んでみようかな」と思ったその瞬間から、新しい習慣が始まります。